弊社の創薬事業戦略ーALSを治療可能な世界に

筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis, ALS)は感覚や思考が冒されない一方で、運動機能が徐々に失われていく重篤な難病です。一部の患者さんは遺伝性(家族性)であることがわかっていますが、大部分の患者さんでは孤発性であり、発症に至る分子機構が不明であるため、治療法開発が困難な状況です。ALSの患者さんの運動神経は、何らかの原因によって死滅していくことが知られています。ALSモデル動物を用いた研究では、初期の段階からNMJの異常が認められることがわかっています(Figure2、参考文献1)。運動神経が骨格筋から剥がれ、筋肉の制御ができない状態が誘導されたことを示唆しています。非常に初期の段階からNMJの異常が認められることに注目することで、なるべく発症の初期段階での診断が可能となること、また症状の緩和や改善に向けたアプローチが重要であると考えています。

また「正常に形成され、維持されていたNMJが何らかの原因によって正常に維持できず、 運動神経と筋肉が乖離してしまうこと」が “なぜ”引き起こされるのかを理解することがALSの原因を解明するために非常に重要なのではないかと考えています。そして、シナプスの強化(運動神経と骨格筋の接合の強化)または促進する創薬によってALSの新たな治療法の確立へ繋がると考えます。

  最近弊社では、人工シナプス形成ビーズを用いて、FDAで認可されている化合物に対するハイスループットスクリーニングを行った結果、シナプス形成を有意に促進する化合物を同定することに成功しました。
シナプス形成の安定化を評価することは、創薬における重要な技術であると考え、スクリーニングシステムの提供および自社でのALS創薬を推進しています。

Figure 2.
ALSモデルマウスの筋組織の免疫染色像。通常は、緑で示される運動神経と、赤で示される筋肉上の受容体部が重なり正常なNMJ(黄)形成している(A3)。一方、運動神経末端が筋肉から乖離している病理像が観察される(A1、A2)。

References:

  • Schaefer AM, Sanes JR, Lichtman JW. A compensatory subpopulation of motor neurons in a mouse model of amyotrophic lateral sclerosis. J Comp Neurol. 2005 Sep 26;490(3):209-19
  • Yumoto N, Kim N, Burden SJ. Lrp4 is a retrograde signal for presynaptic differentiation at neuromuscular synapses. Nature. 2012 Sep 20;489(7416):438-42.